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The Fang #2


DB,4回生,吉岡大志



疲労骨折、全治5ヶ月。なんという幕切れ。この年、チームは大阪府3位という成績でシーズンを終え

た。誇るべき結果だが、決して望んでいた結果ではなかった。「やりきった感じはありました。バスケットボールでできることはやりつくした感がありました。けど、勝つことに向けて努力してきた生活から、簡単に抜け出せるとは思えなかった」兄が関西学院大学の体育会バスケットボール部でプレーしている姿も目の当たりにしている。自分の中でなにかをしないと進学先の立命館大学での4年間、絶対に後悔することだけは確信していたことになる。




大学でなぜアメリカンフットボール部を選んだのかを聞くと、「目標がはっきりしていたからです」との答え。入学までの人生でアメリカンフットボールとの接点は小学生のときに読んだアイシールド21くらい。ルールも、何が必要なのかもよくわからない。ただ、あの漫画にちりばめられた逆境に立ち向かうためのいくつもの名言と、立命館大学のアメリカンフットボール部が本気で頂点を取りに行こうとしているという事実。高校卒業直前の吉岡にとってはそれだけで十分だったようだ。挑戦する人生はいつだって少年漫画だ。


2019年4月1日、次の挑戦が始まった。キャンパスにあったアメリカンフットボール部の勧誘ブースに自分から出向いて入部、彼のポジション(コーナーバック)はバスケットボールで培ってきた要素がそのまま活きるポジション。だが、コートからフィールドに戦いの場所を変えた吉岡の向き合う現実はそんなに甘くなかった。当初はやったことのなかったウェイトリフティング、コロナウィルスの影響でこれまでの3年間で実質1年半ほどしか練習できていない。最終学年の今年は特にポジション争いが激しく、同級生だけでも西田、池田、義積、多賀の4人、最近になって調子をあげている後輩の中司からの激しい突き上げ。






これまで、まだ一度も試合のスターティングメンバーになったことはない。昨年まではスカウトチーム(仮想敵チーム、試合に出るメンバーではない)だった。ただ、アメリカンフットボールは交代出場が多くフィールドに立って勝負する機会がある。1プレーでもその機会を勝ち取ってチームのために尽くすのが吉岡の覚悟だ。「自分のプレースタイルは変わらない。とびぬけたアスリートでない自分だからこそできることをやります。」


吉岡大志、4年生。人生は少年漫画。吉岡は大学生活最後の1年間のストーリーをどのように描くのか勝負のときは始まっている。


(了)

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