The Fang #1


DB,4回生,吉岡大志




まるで少年漫画を聞かされているかのようなストーリーだった。

生まれ育ったのはだんじり祭りで活気あふれる大阪の泉州の下町。4歳年上の兄の影響で小学校3年生からバスケットボールを始めた。順調にプレーヤーのキャリアを積んだ吉岡にはいくつかの私立高校から推薦入学の話もあったが、選んだ進学先は強豪校がひしめく大阪府にあって「あえて」大学進学実績の高い公立高校だった。理由を聞くと、はにかみつつでてきた答えは「格上の相手を倒しにいくほうがおもしろいと思いました」。


やっぱり、吉岡は自分の意思で少年漫画の主人公を生きている。ジャイアントキリングを果たしての全国大会出場を本気で目指しつつ、学業では進学校にあって常にトップクラスを維持していたことも恥ずかしそうに語ってくれた。実は、高校進学にあたっては有名私立大学の指定校推薦枠があることも事前に確認済みで、公立高校のバスケットボール部で大阪を制覇する野望と同時に、指定校推薦枠を勝ち取って大学進学することも密かに決意していたという。なんという男だ。抜け目がない。





1年生から2年生まで吉岡のチームは大阪府ベスト4の壁を破れずにいた(高校の数が多い大阪府での

成績なので、それでもかなりすごいことなのだが)。とびぬけたアスリートでもなく、派手なビッグプレーメーカーでもない。地道な努力を積み重ねて結果を出すシュアプレーヤーとして迎えた3年目を迎えて「チームのキャプテンをやりました」と聞くと、話を聞いている外野からすればそれは必然だったのではないのだろうかと感じる。学業成績優秀、大阪を制覇して全国へ行く強い野望で毎日をドライブしているがゆえのキャプテン就任だったのだろう。そして3年生の最後の大会で吉岡の率いるチームはついにベスト4の壁を乗り越えて準決勝に進む。


バスケットボールキャリア10年目、高校生活最後の大会でようやく現実になりかけた夢。あと2つ勝

てばウィンターカップ出場。しかもトーナメントの向こう側、決勝で待っている相手は春の練習試合で勝利した相手だ。「決勝にさえすすめば。」高校生活最後の大会で夢がようやく現実になりかけたとき、吉岡に悲劇が訪れた。


(続く)